DAY 10 – 二軒目の内見

アイルランドに来て10日。
ギターが返ってきたことで少し気持ちが落ち着いた。
今目の前にある問題は家が決まっていないことである。
さて、前にも書いたかと思うが
アイルランドへの滞在は現時点で3ヶ月まで認められている。
そして就労する許可も持っている。
この認められた滞在期間を1年まで延ばす権利も持っているのだが、そのためにはいわゆる在留登録をする必要がある。
この在留登録。
住所が必要なのだ。
そんなわけで家を探しているのだが、この日は2件目の内見へ。
今回の家は、内見希望を出した家候補の中で、最も家賃が安い家である。
予算が限られている中でこれは嬉しい。
場所はステイ先からバスを2本乗り継いで1時間ほど。
バスならもう乗り慣れているため、なんの問題もなくたどりついた。
家主の希望で一度電話で会話をしたが、英語が得意ではないことに理解があり、ゆっくり話してくれた。
良い人そうだ。
家についてみると、家主はやはりフレンドリー。
まず部屋を見せてくれたあと、こちらの知りたい情報をすべて話してくれる。
それはもう10年以上シェアハウスの家主をしているからなのか、とてもスムーズだ。
月々の支払やデポジットのことを自ら紙に書き、サインをして渡してくれた。
この人は信用できる。
ただし、家中すべての部屋に共通して、ルームキーがない。
ここはホテルではなく、シェアハウスなのだから信頼でやっている。
10年以上やってきて問題は一度もない。
と家主が言う。
部屋に鍵がなくてギターを守れるだろうか。
わずかに不安が残る。
その場でよく考えたが、この家主なら信頼できそうだ。
そして、ステイ先への滞在可能期間も残り数日である。
急いで家を決めなければ、ホテル暮らしか、またホームステイをしなければならない。
いずれも割高だ。
すぐに近場のATMへ行き、恐る恐る敷金を払い、この日のうちに家の鍵を受け取った。
正式な契約は翌日に。
そしてその日から、この家での生活が始まる。
(Author: Takayoshi Nakai 09/08/2023)