DAY 12 – 現地でも高価

シェアハウスに引っ越して最初の朝を迎えた。
ここにきて洗濯機があるのが嬉しい。
ホームステイ中は洗濯機がなく、ホストマザーに預ければ返ってくるのは1週間後だった。
そのため、洗濯物は途中から自分で手洗いして部屋の中に干して暮らしていたのだが、このシェアハウスには自由に使える洗濯機と乾燥機がある。
なかなか手洗いする気にならなかったジーパンを洗いたくて、最初の晩から洗濯機を回して、乾燥機に突っ込んだところで床に就いた。
朝起きると、まずは乾燥機に入れた服を回収しにキッチンへ向かう。
すると家主がいて、Good morning Takayoshiと声をかけてくる。
こちらに来て初めて名前を呼ばれ、嬉しくなる。
この家の他の住人とも、昨晩からこの日の午前中にかけて挨拶を交わすのだが、全員とても感じの良い人たちだ。
さて、今日はステイ先に置いてきた残りの荷物を回収に行くのだが、ホストマザーには夕方ごろに鍵を返すと伝えてあった。
そのため時間があるので、昼間は市街地に行って探検することとする。
試しにマップアプリに、Music Storeと入力して検索する。
するとダブリン市街地にはたくさんの楽器屋があることがわかる。
それを片っ端からすべて見に行きたいが、とても広範囲のため降りたバス停に近いところだけを回った。
1,2軒目はワンフロアで、壁一面にギターが飾られているが本数は多くない。
3軒目の楽器屋は日本の渋谷あたりにある楽器屋に雰囲気が似ていて、2フロアでギター以外にドラムなどの備品が並んでいる。
その店で、ついにLowdenギターを見つけた。
我がギターもLowdenのギターであるが、これはアイルランドのギターメーカーである。
一本所有しているから思うが、このメーカーには独特の音がある。
もう他のメーカーのギターには興味がないと言っても過言ではない。
日本で支度をしていたころから、ギターを持ってくることにはリスクが多いことを懸念していた。
案の定、アイルランド入国に際して我がギターはひどい目に遭ったわけだ。
今回のようなロストバゲージもそうであるし、預けた荷物が破損するという話は頻繁に耳にする。
そのため、いっそギターは持ってこないで、こちらでもう一本Lowdenを購入すれば良いという案も上がっていた。
日本に輸入したギターを買っているのだから、現地で買えば関税や日本のお店のマージンが入らず、比較的安く購入できるのではないかと甘く考えていたのだ。
実際にこちらで見てみれば、値段は日本と変わらない。
むしろ、現地の方が高いのではないかと思うほどだ。
5500ユーロから7000ユーロする。
とてもじゃないが買えない。
リスクを取って我がギターを持ってきてよかった。
楽器屋を出ると、雑貨屋でいくつか買い物をしてステイ先へ向かう。
ステイ先に戻ると、ホストマザーがいたので手早く鍵を返却し、残りの荷物を回収して家を出る。
玄関のところでこの家の赤ん坊と大きな黒い犬に最後の挨拶をする。
10日間ありがとう。またどこかで会おう。
新たに住み始めたシェアハウスへはまっすぐ帰った。
これで引っ越し作業はおしまいである。
部屋に荷物を置いて、バスの中から見かけた近所のスーパーへ歩いていく。
そこで、米と水、簡単な野菜とシャンプーなどを買って家に帰る。
途中もう一軒みつけたスーパーで、4枚入りのステーキ肉を安売りしているのを発見。
消費期限が二日後だが、ラッキーだ。
今日から自炊ができる。
それが嬉しかった。
買ってきた米は、炊飯器がないので鍋で煮る。
日本で食べている米より背丈の長い海外のお米だ。
そして作ったのがこれ。
永谷園のお茶漬けである。
出国前に妹夫婦が、日本の味が恋しくなった時のためにと持たせてくれたものだ。
サンドイッチとリンゴばかり食べていた体に、日本の味が。
そして日本の物とは少々違うが、米が。
まさにしみわたる。
本格的な調理は明日からにして、今日はこれにて休むこととする。
(Author: Takayoshi Nakai 09/10/2023)