DAY 2 – ダブリン到着

ダブリン空港についた。
時刻は朝9時を回ったころ。
成田からヘルシンキの機内で睡眠をとったため、眠くはない。
なにより心配だったのは、ギターが無事に運ばれるのか。
飛行機に預けたギターが破損したというような話は、海外ソロギタリストたちがSNSにあげているのを見たことがある。
頻繁にそういうことは起こり得るようで、今は成田空港で言われた「フィンエアーは荷物を大事に扱うので、貼らなくて大丈夫です。」( DAY 1)を信じるしかない。
心配性のため、ギターケースと旅行鞄にはそれぞれApple Airtagを入れてあった。
空港につくなり、荷物はちゃんと届いたかとスマホを開く。
様子がおかしい。
ギターだけが、2028キロ離れたヘルシンキ空港に置き去りにされている。
最も起こってはならないことが起きた。
起こったことは仕方がない。
大切なのはリカバリーだ。ここからどうするかだ
この時はまだ、日本気分が抜けていなかったのかもしれない。
空港スタッフに尋ね、ロストバゲージの対応窓口へ
Swissportという会社のカウンターが窓口のようだ。
拙い英語で、ギターがまだヘルシンキ空港に置き去りにされていることを伝える。
しかし、ここは海外。
日本のように話は聞いてくれないし、ヘルシンキにあるのならと、何か対応を考えてくれるわけでもない。
タッチ式の端末に自分の情報とメールアドレスを入力させられ、今後の対応について書かれたメールが届くとすぐに追い返された。
納得いかないまま、旅行鞄だけを回収して外に出た。
ネットで調べれば、ディレイドバゲージは通常1~2日遅れて空港に届くらしい。
そういうことだったので頭を切り替えて、ホームステイ先を目指す。
時刻は手続きなどをしていたため11時に。
ステイ先のチェックインは16時から可能と聞いていたため、探検を兼ねて空港からは歩いていくことにした。
空港というものは制限エリアも多いせいか、なかなか敷地から出る道が見つからない。
突き当りまで来たと思えばフェンス。
道路にあたれば、横断歩道がなくて渡れない。
ずいぶん敷地内を彷徨っているうちにマクドナルドを発見。
アイルランドで最初の食事をとる。
注文はタッチ式。
ダブルチーズバーガーセットを探すが、見当たらない。
もしやセットという概念がないのだろうか。
仕方なしに単品でコーラ、ダブルチーズバーガー、ポテト、そして日本ではみたことのない『チージーガーリックバイツ』なるものを注文する。
やはり物価は高いが、せっかく海外に来たのだから現地の食べ物には挑戦するべきだ。
チージーガーリックバイツ、ジャガイモを揚げたものだと推測する。うまい。
食事をとって、スマホで地図を確認。
なんとか空港から出る道を探していざ出発。
ガラガラと旅行鞄を引いて歩く。
時々疲れると背負っているリュックを鞄にのせて押して歩く。
ダブリンの道は舗装されているが、日本のそれに比べれば凸凹だ。
ステイ先までは歩いて1時間半、楽勝かと思ったがそうでもない。
初海外旅行への興奮が手伝わなければすぐに音を上げていただろう。
文化の違いを感じて面白いのは信号機だ。
歩行者用信号はすべて押しボタン式。
青になると『ぴぴぴぴぴぴっ』と非常に焦るような音を鳴らす。
実際焦らなくてはならない。
人が駆け足で渡りきる頃には黄色に、そして赤信号へと変わる。
とにかく非常に青信号が短い。
現地人は信号を無視し、自分できょろきょろと左右を確認してから渡っている姿も多くみられる。
ステイ先がどんなところか、そもそもダブリンとはどのような場所か、
まったくリサーチせず、地図だけ眺めて渡航してきた。
地図でもって、勝手にここは大都会だと思っていたのである。
しかし、どこまで行っても家。
道にあるのはハリーポッターのダーズリー家のよう、綺麗な一軒家ばかり。
ひたすら家。あとは公園。
たまに通り沿いに個人商店が並んでいる。
歩きに歩いて15時すぎにはステイ先についてしまった。
目の前には大きな公園が、しかし近所にはガソリンスタンドくらいしかない。
どうやって時間をつぶそうかと悩む。
ここにギターがあれば・・・。
仕方なしに公園に座っていると、たまたまホストファミリーのお母さんが通りかかって声をかけてくれた。
少々早いがチェックイン。
部屋に通されると眠気が訪れた。
15分ほど寝よう。
そう思ってベッドに横たわる。
いつもの通り、アラームを忘れずに。
目が覚めると翌朝6時頃だった。
(Author: Takayoshi Nakai 08/31/2023)