DAY 22 – 突風の日

なんだか異様に風の強い一日。
家に向かって風がぶつかってくる感触。
この感じは日本にいるなら、台風が来ている日、それこそ暴風警報で学校がお休みになるような、そんな強い音。
ごおっという音が一日中家の壁を鳴らしている。
部屋の壁には痛々しい亀裂があって、ともすれば頭上で蜘蛛の巣を揺らしている忌々しい隙間風はここから入ってきているのではないかと勘繰りたくなる。
このいかにもな古傷のために、預けている敷金をもぎ取られるのではないか・・・。
大丈夫。デレクさんはそんなことしないだろう。
この突風、あるいは春一番のそれかもしれない。
昼過ぎに天気が良かったので少し外を見に行った。
強い風に、日本の春に似た穏やかな気候。
かと思えばここ数日の夜はマフラーが欲しいくらいに寒い。
アイルランドは一日の中に四季がある。
とはどこかで読んだ文だが、的を射た表現だと思う。
風の強い日にバイト探しなんてごめんだ。
ついにこんな理由でサボりだす。
こういうツケはあとでちゃんと回ってきて、しっかりと自分を困らせるから良い。
良いわけないが、尻に火が付けばなんとかするだろう。
今日は一日中ギターを弾いて、シンセサイザーをいじってすごした。
サウンドホールに蓋をしてウレタンでミュートすれば、家の中でも今のところ苦情は来ない。
ドキュメンタリー映画『パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト』には、ホテルの部屋でギターの練習をしているシーンがあって、同じようにウレタンをブリッジに挟んでミュートしている。
やってみると気づくが、音が伸びないのでリズムがよく見える。
メトロノームと合わせて練習すれば、自分のリズム感の甘さを再確認できる。
だから、直すのにもってこいだろう。
夜10時、変な時間に眠って
今は午前2時、目が覚めてしまった。
今すぐなら履歴書を持って、バイト探しにも精が出るだろう。
もう一度寝るわけだが、明け方にもそう思えればいいのに。
(Author: Takayoshi Nakai 09/20/2023)