DAY 4 – ギターが見つからないという

空港で預けた荷物が無くなってしまうことをロストバゲージという。
今回はディレイドバゲージ、つまり空港で預けた荷物が自分に遅れて次以降の便で目的地に届くこと。
これは貨物の積み忘れや、乗り継ぎ時間の短い飛行機間で積み込み作業が間に合わなかった時に起こる。
そして、大抵は1~2日後に届くものである。
と、ネットにある。
しかし、3日経っても我がギターの消息は不明なままだ。
今回の渡航で利用したFinnairのサイトから、自分のディレイドバゲージがどこにあるのか、その消息を追跡するサービスがある。
これによると、いまだにFinnairは我がギターを発見できずにいるという。
いや、こちらとしてはどこにあるのかAirtagでわかっている。
この時点ではまだヘルシンキ空港に置き去りにされている。
毎日何度もスマホで確認するため、空港内をあっちへ行ったりこっちへ行ったりと微妙に移動していることを知っている。
誰かは荷物を動かしているのだ。だから不気味だ。
なぜ、いまだにFinnairは我がギターを発見できずにいるというのか。
それも仕方がないと思うのは、
ダブリン空港で実際にロストバゲージ対応をしているSwissportという会社。
この受付で荷物が届いていないという説明をした時、ずいぶん雑に対応されたわけである。
専用のタッチ式端末で、旅券の番号、名前やメールアドレスをはじめとする個人情報を打ち込んだだけで、残りの荷物情報などは雑に入力されていたらしい。
Finnairはというと、ここで入力された情報を元に荷物の追跡をしている。
追跡ページをみれば、我がギターは『黒いカバン』という雑すぎる情報で入力されていたことがわかった。
荷物の種別選択に、楽器ケースというカテゴリがあるにも関わらずだ。
これでは確かに、見つからないのも仕方ないのかもしれない。
さて、そんな状況を3日目の夜に発見したため、間違われた情報を編集して直す。
ギターケース・黒・革貼り
メーカーはLowden
入力するべき項目はすべてすっ飛ばされていた。
特徴を書く欄には、スーツケースベルトを巻いていることを。
中身についても思いつく限り詳細に入力した。
さらにコンタクトフォームからFinnairへメッセージを送った。
「我がギターはヘルシンキに在ります。どうか丁寧に、そして早く運んでほしい」と。
それが効果的だったのか、関係ないのか知らないが
四日目の夜、やっとFinnairが我がロストバゲージを発見した。そうホームページを通して通知されたのである。
しかし不安である。
楽器を預入荷物にした結果、壊れてしまったという話はあらゆる場所で聞く。
せめて安否を知りたいが、問い合わせたところで答えが返ってくるようなシンプルな業務体系ではないこともわかりきっている。
そんなことは期待できない。
なので無事を祈ってただ待っていた。
我がギターはこの後も一筋縄では返ってこない。
ところで、ギターが返ってこないからと言って、何もしないでいるわけにもいかない。
アイルランドへは英語力を得るために来たのだから。
4日目の昼間はステイ先の近所にあるショッピングモールへ来た。
ここへは、歩いてくることもできる距離である。
建物内に噴水があるとは、なんともバブリーだ。
実家の周りの地域もかつては栄えていて、近隣の公園にはどれも大小の噴水があり、近所のショッピングモールに至っては建物内に滝や泉のような設備があったりしたものだ。
そのどれもがこの数年はただのオブジェと化し、水を噴き上げている場所はもう一つもない。
衰退したのだ。
そんな状況をみているので、ダブリンは現在進行形で栄えているのだと思う。
昼食もこのショッピングモールで。
ベーコンとチーズ、そして飴色玉ねぎが挟まっている。
とてもおいしかったが、少々お高い。
これだけで900円くらいする。
物価はやはり日本よりだいぶ高いように思う。
ステイ先では食事が出ず、調理場も借りれないため、基本的に買い食いを余儀なくされる。
ここに載せていない時の食事はたいていリンゴをかじるなどして過ごしている。
アイルランドは芋が主食の国である。
と、事前情報では信じていたのだが、今のところ行くところ行くところで手に入るのはサンドイッチである。
フライドポテトくらいしか芋には出会っていない。
アイルランド料理というものに早く出会いたいものだ。
(Author: Takayoshi Nakai 09/02/2023)