Takayoshi Nakai
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DAY 9 – 再会

2日前の夕方の便で、我がギターはヘルシンキからダブリンへと運ばれたことを知っている。

何故なら大切なギター、アイルランドに来てからこれまでの間、Airtagの情報を数時間おきに確認しながら生活してきたからだ。

 

しかし、ダブリン空港からの連絡は一切ない。
いい加減待つのも限界である。

ならばと、ダブリン空港へ直接乗り込むことにしたのだ。

 

ダブリン空港ターミナル1、そこに我がギターはある。

到着すると、ロストバゲージに関するそれらしい受付を探すが、見当たらない。

 

なんのカウンターか知らないが、手の空いていそうな受付に行き、声をかけてみる。

すると、向こうにある専用電話で担当者に繋がると案内された。

 

電話をかけてみるが、繋がらない。
見上げると、電話が繋がらない場合はここに行きなさいという張り紙がしてある。

 

2階に上がり、出国手続き場にSwissportのカウンターを発見。

 

スタッフに声をかけ、我がギターはまだ受け取れないのかと確認するが、どうでもよさそうな対応をされて腹が立つ。
あげく隣のスタッフにそれを伝えるよう言われたので、また同じ説明をする。

渡航してきた日、ロストバゲージの受付で付与された番号を見せろというのでスマホを渡すと、そのスマホを机にトンっと叩くように置いたのでさらにむかっ腹がたつ。

この会社、どうも態度が悪い。

そのスタッフから、近くにいる別のスタッフになにやら声をかける。

見事なたらいまわしだ。そのスタッフにまた同じ説明をする。
このスタッフだけは穏やかに対応してくれた。

確認してくると言い残してどこかへ行ってしまった。

 

しばらくすると、我がギターが台車にのせられて運ばれてきた。

パスポートと旅券番号で本人確認をしてからのお渡しとホームページには書いてあったが、
「これでしょ?持ってっていいよ」というような軽い感じで引き渡された。

大丈夫なのかSwissport

 

とはいえ返ってきた。やっと。

その場でギターケースを開け、中身を確認する。
特に故障や傷もなく、誰かに開けられた形跡もなかったので一安心。

 

 

 

ステイ先に連れて帰り、さっそく公園で数日ぶりの練習。

 

アイルランドすべてがそうかはわからないが、この近隣で見かける家はどこの家も、玄関扉をあけて犬を放つ。
犬は公園に走っていき、各々好きなように走り回って遊んでいるのだ。

公園で練習していると、ステイ先の犬も近づいてきてすぐ隣に座る。
遊んでもらう気分でもないのだが、かわいらしいので曲の合間に撫でてみる。

 

やっと返ってきた。

アイルランドに来て、ここでやっと少しの安心感。

 

 

 

この日の夜に誓ったことがある。

 

二度とギターは預入荷物にしない。
それどころか、誰にも預けることはない。

この先、大切なものはすべて手元に置いて、手放すことはしない。

そのためには力がいる。
財力か、成功か。

必ずやこの活動の果てに掴む。

(Author: Takayoshi Nakai 09/07/2023)